Singapore_Bukit-Timah Borneo_Sarawak における菌類図鑑・早稲田大学本庄高等学院 (2009年版).pdf

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2009 年版
Singapore/Bukit-Timah,
Borneo/Sarawak
における菌類図鑑
早稲田大学本庄高等学院
シンガポール・ボルネオ研修チーム編集
氏名
はじめに �½�重点枠予算研究「NJC との共同研究による“熱帯・温帯の菌
類比較”」�½�
早稲田大学本庄高等学院は、2007 年度より開始されていた Singapore
National Junior College との菌類調査に関する共同研究の推進を目的として、
2008 年度 SSH 重点枠に申し込み、許可を得ることができた。ここでは、重点枠
による研修の中で観察した菌類を中心とする熱帯の生物をレポートする。
2. Singapore Bukit-Timah Hills 自然保護区で観察した菌類
ブギ・ティマは、シンガポールの中心部にある自然保護区で、�½市�½家シン
ガポールにおいて森林浴のできる貴重な場所となっている。最高地点で標高
163 メートル(シンガポール最
高峰) 最長トレッキングルー
トで往復 2 時間程度のエリア
である。
ここには、
フタバガキ
科樹木を中心とする植物や数
多くの野生動物を見ることが
できる。NJC 生徒は、キャンパ
スに近いこの地域で定期的に
菌類調査を続けている。
残念ながらここは手つかず
の自然ではなく、
人の手によっ
て管理された自然である。
1.
キシメジ科(Tricholomataceae)
傘は�½色で、表面に微毛があり直径 5cm
前後。じょうご�½�で、縁部が内側に巻くの
が特徴的。柄は細長く、ひだは垂生する。
このようなキノコは見たことがない。
熱帯
に特有の種なのかも知れない。
多孔菌科(Polyporaceae)
全�½�が汚灰褐色で、
重なるようにして群
生するのが特徴。中型のキノコ。傘は半円
�½�で、質は厚く柄はない。倒木の切り口の
中央部にかたまっていることから、
あるい
は心材を分解する腐�½菌であろうか。
-1-
多孔菌科(Polyporaceae)
かなり古くなった菌で炭化して黒色。
着生だが、
厚みがあるためシイサルノコシ
カケ(
Perenniporia tephroporta
)のよう
に半背着となる可�½性もあったかも知れ
ない。
キシメジ科(Tricholomataceae)
小型で可憐なキノコ。全�½�に�½色で、暗
い森のなかでもよく目立つ。傘は山型で、
質は柔らかい。木材腐�½菌。
キシメジ科(Tricholomataceae)
小型の�½葉分解菌。
写真では判りにくい
が、傘表面に放射状の粗いしわが目立つ。
縁は反り返る。
ひだは極めて疎。
柄は�½色。
この自然保護区では�½葉分解菌が多いと
いう印象を受けた。
キシメジ科(Tricholomataceae)
小型で可憐なキノコ。
全�½�に柔らかく繊
細で、傘には放射状の溝線がある。柄は傘
と同色だが、上部は淡色。外見的にはクヌ
ギタケ属(
Mycena
)のように見えるが、さ
て。�½葉分解菌。
-2-
ハラタケ科(Agaricaceae)
傘は小型。
表面は�½色の地に褐色の鱗片
が付く。
外見的には日本でも見られるキツ
ネノカラカサ
Lepiota cristata
に似る。
キツネノカラカサはほぼ全世界に分布す
るという。
多孔菌科?(Polyporaceae)
ヤケイロタケ(
Bjerkndera adusta
)の
ように子実層面が黒色であるのが最大の
特徴。
このタイプのキノコは日本でもあま
り多くない。孔口は微細。表面は褐色で環
紋を持つ。
多孔菌科(Polyporaceae)
色�½�、環紋の様子、薄く固い質感など、
ウチワタケ(
Microporus flabelliformis
に酷似する。
ウチワタケは一般に短い柄が
側生するが、まれに中心生のものもある。
ただ、
写真の子実�½�の柄は長すぎる点が気
になる。ウチワタケは熱帯系の菌である。
キシメジ科(Tricholomataceae)
非常に小型で繊細な木材腐�½菌。
傘はほ
んのりピンク色が差し、美しい。放射状の
溝線があり、
中央がわずかにくぼむのが特
徴的。腐�½木上に群生する。
-3-
多孔菌科(Polyporaceae)
典型的なサルノコシカケ型キノコ。
傘の
表面には顕著な環紋のあるのが特徴。
ミイ
ロアミタケ(
Daedaleopsis purpurea
)に
似るが、ミイロアミタケは日本、ヒマラヤ
に分布。木材腐�½菌。
キシメジ科(Tricholomataceae)
この自然保護区には可憐なキノコが多
い。
このキノコも�½ち葉の間からひっそり
と�½い顔をのぞかせている。
こんな小さな
キノコでも�½ち葉を分解し、
森の物質循環
に貢献しているのだ。
ネッタイスルメタケ?(
Rigidoporus
microporus)
後のグヌンガディン�½立公園の箇所に
も出てくるように、
熱帯ではごくありふれ
た種類で、
樹木を枯らす病原菌として知ら
れる。スルメタケ(
R. lineatu�½�
)に似る
が、より赤味が強い。�½色腐�½菌。
キシメジ科?(Tricholomataceae)
小型の木材腐�½菌で、群生する。傘は純
�½、中央が突き出たように尖るのが特徴
的。表面に網目状の模様があることから、
裏側の子実層の�½�が透けて見えるのだろ
う。
こちらも熱帯に特有のキノコであろう
か。
3. Malaysia Borneo Sarawak で観察した菌類
(1) Gunung Gading National Park
グヌン・ガディンはサラワク州の州�½クチンから西北西 50 キロほどの�½�
�½�にある�½立公園である。�½��½�は海岸に近いが、鬱蒼とした熱帯雨林中心の
地域であり、ラフレシアでも有名な場所となっている。今回の研修では、ト
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